SMENA 8Mが届いた

持ち歩き用カメラとして愛用していたアホカメラの王者=LOMOのLC-Aが約一年前に故障して以来、手元にあるのが全てマトモなカメラと言う状況が続いていた。所持しているのはニコンFの黒が1台とF2チタンが2台・・・と言うのは全くの嘘で、初心者用MFカメラとして名高いニコンのFM2が1台と、オリンパスのコンパクト等が少し、それだけである。見事に真面目なカメラばかりなのだ。
ニコンを使っていて「うーん、取りあえずカーテンでも撮るか」「今日は床を激写してみよう」と言う気持ちには決してならない。せいぜい空き缶やコップぐらいがギリギリの線で、撮った後に「どうしてこんなもん撮ったんだろう?」と疑問が湧いてくるような駄目感著しい被写体は無意識に避けてしまう。写真が好きな人なら分かってもらえると思うが、出来上がった写真を見て「どうしてこんなもん撮ったんだろう?」「どうしてあれを撮らないで帰ってきたんだろう?」と言う気持ちになると、人は根こそぎ疲弊するものなのだ。その点アホカメラには制限がない。ゴミでもモヤでも何でも撮る気にさせてくれる。ニコンで撮った写真が予想外の失敗写真だったら結構ガッカリしてしまうけど、アホカメラの類は存在自体が失敗しているので、どんな程度の低い失敗をしてもそれはカメラが悪いのです。よって精神的な自由度が比較的高い。アホカメラには特殊なモチベーションを喚起してくれると言う美点が確かにある。俺にはアホカメラが必要だ。
そんなわけで先日SMENA 8Mと言うカメラを某所に注文してみた。ソ連製のアホカメラである。総プラスチックのどうしようもないボディに薄汚いアルミ鏡胴を搭載した完全手動の本格派で、LOMOの製品ではLC-Aと並ぶ人気を誇っている。93年頃に既に生産を終了しており、最近徐々に値上がりしてるようだが、それでも今なら5000円〜7000円ぐらいでデッドが買える*1。どこから見ても隙なくアホなのにやたらと人気が高いのは、アホカメラとしては信じがたい水準のレンズを積んでると言う評判があるからだ。T-43と名乗るガラス製の三枚玉なんだけど、これが意外なほど良く写るんだと。ネット中に作例が落ちてるけど、確かにアホカメラの写りではない。急に試してみたくなったのです。
そして今日現物が届いた。LC-Aが高級品であることがよく分かる見事な作りだ。単にプラスチックが嵌まっているだけのファインダーや、人間の動線を一切無視した豪快なデザインを目前にすると、「やっぱり日本とかドイツって凄いんだなあ」と言う不思議な感動が込み上げてくる。デッドなのに薄汚いのも素晴らしい。鏡胴のプリントなどは掠れつつあり、これが消えたらどうやって撮れば良いんだろう。そしていじってるうちに鼻がかゆくなった。
内面反射が凄まじいらしいので早いところ対策をして、そんで晴れたら試し撮りをしてみよう。何だかんだ言って実は嬉しい。

SMENA 8M T-43 40mm/f4.0
焦点距離 早見表

絞り 焦点距離 合焦範囲
F 4.0 12.12m 6.06m〜∞
F 5.6 8.66m 4.33m〜∞
F 8.0 6.06m 3.03m〜∞
F11.0 4.41m 2.20m〜∞
F16.0 3.03m 1.52m〜∞
※許容錯乱円の径=0.033mmで計算
※計算結果は少数点以下第三位で四捨五入
フィルムはISO100〜200ぐらいにして、絞りはF11に固定、快晴なら1/500秒、晴れなら1/250秒、明るい曇なら1/125秒、日陰なら1/60秒で頑張れば何でもかんでもピントがあって楽しくスナップ出来るはずです。

*1:ボッタクリ価格です。海外からの通販で買えばもう少しマトモな価格で購入できるので、ゆっくりでもいい人はそちらを当たった方がお得だよ。

ラーメン

ラーメンを食べた。店名は伏せるが、それそれはすごい油だった。ほぐれていない巨大な背脂がどんぶり中に堆積しており、見るからに地獄絵図な、幾ら何でもそれはやりすぎだろうと言う眺めのラーメンだった。仙川とかにある「ラーメン二郎」に似た感じだが、流石の二郎もこんなには油地獄じゃなかった気がする。激しくもたれた。多分もう行かないや。
ラーメン屋とは全く関係ないけど、食後のコーヒーって良いものですね。苦みが胃に優しく感じた。