鉄コン筋クリートを見てきた

見てきた。とにかく何よりもまず、その美術の凄まじいこと。それはもう異常と言って良さそうなクオリティで、見ている間ずっとたまげていた。偏執狂的に作り込まれたテクスチャーが、目にもとまらぬ速度で通り過ぎていく。これは一見の価値があるよ。
映画の内容ですが、原作の青臭さも鬱陶しさも何もかも省略せずに全てやり切っているため(そして原作にない説明は当然のように省かれているため)、個人的についていけなくなる部分が多々あった。原作同様プロットはいたるところで意味不明だし、映画として完成しているとは到底思えない出来栄えである。随所に挿入される(しかもやたらと長い)イメージシーンはワンカットあれば事足りると思うし、その分アクションを増やした方が多分良かった。が、この映画に注がれた情熱や執念、そして映画が完成するまでに下されたであろう選択や決断の前には、これらは野暮な感想かも知れない、とも思う。原作同様、嫌いになれないのだった。
素晴らしい映画化だった、と言うのが最終的な感想である。映画として不完全であろうと、漫画ファンとして、アニメーション好きとして、感謝せざるを得ない愚直で真摯な映画化であった。そして最後に繰り返しになるが、その美術の凄まじいこと。これは一見の価値があります*1。と言うか、必見かも知れない。

*1:原作同様、暴力シーンが凄惨だったり、ストリップ小屋が出てきたりするので、子供連れやファミリーでの鑑賞はあんまり薦めません。子供は子供同士で勝手に見に行くと思います。