篠田正浩「暗殺」感想

舞台は幕末。尊皇攘夷派の奇才、清川八郎(丹波哲郎)が佐々木只三郎木村功)に暗殺されるまでを描いた時代劇。映画は回想シーンによって清川八郎と言う人間の巨大さから卑小さまでを徹底的に暴き尽くす。何もかもすっからかんになったところで、佐々木只三郎はこう呟く。「俺には清川八郎が斬れる」。
暴かれ尽くした主役は映画を降りる。映像は佐々木の主観に変化する。異様かつ鮮やかな暗殺シーンに震えた。実は途中で物凄く眠くなったのだが、寝なくて良かったなあ。木村功が無茶苦茶かっこよかった。
しかしこんな映画撮った人が「スパイ・ゾルゲ」になっちゃうんだから諸行無常だ。