明治侠客伝 三代目襲名(1965)

三代目からは堅気の土建屋として再出発して欲しいと願った二代目の遺志を汲み、土建屋「木屋辰」のヤクザ部分の看板を引き受けた代貸し鶴田浩二(堅気の看板を任された二代目の一人息子は津川雅彦)が拳銃と日本刀で大暴れするまでを描いたヤクザ映画。加藤泰監督作品。山下耕作の「総長賭博」と並んで「東映任侠映画の最高傑作」と言われてるそうだが、映像的にも凄かったし、さもありなん、と言う感想である。藤山寛美が単なる三枚目のようでいて実は一宿一飯の仁義に命を懸けちゃう侠士を演じていてこれが非常に格好良かった。丹波哲郎も良かった。と言うか話も役者も映像も全体的に良かった。
いくつか印象的なシーンがあった。真面目に印象的な部分についての話はこの際省くとして、ここではこの日記的に注目すべきシーンを一つ紹介しておこうと思う。「現場を任された鶴田浩二が凄い勢いで作業員に指示を出す」と言うシーンなのだが、オーバーラップを多用した饒舌な演出が妙な感じに炸裂しており、鶴田浩二が見えないものに向かって必死に大ジェスチャー大会みたいな感じになっていて強烈だった。株式市場のイメージビデオみたいで燃えた。