刑事フェイス

音楽をかけながら掃除をしていたらインターホンが鳴った。
NHKかガス屋であろうと思って渋々ドアを開けると、そこにいたのは驚いたことに警察であった。近隣でトラブルめいたことがあったそうで、何か音は聞こえましたか、いや聞こえませんでした、ドタバタと掃除なぞしていたので何かあったとしても聞こえなかったと思う、あー確かに聞こえませんねこれは、みたいなやりとりをして、それじゃどうも失礼します。そう言って彼は去っていった。
印象的だったのは刑事の顔で、それ以外の職業が想像できないような、見事なまでの刑事フェイスをなさっていた。声も喋り方も本当に刑事的で、刑事声による刑事トークとしか言いようのないものだった。びっくりするぐらい丁寧で親切だけど、ぶ厚い洞察と微かな猜疑が底の方に渦巻いていると言う、ドラマとかでよく見るアレである。もちろん例のコートも着ていた。職業というのは人を作りますね。無職の俺もきっと無職っぽい顔をしているはずです。
今日の件とは関係ないですが、交番に入ってる警官の顔って端正なうらなり瓢箪銀縁メガネをかけた巨体オッサンの三種に区分できるような気が何となくしてるんですが、あなたはどう思いますか。顔学会とかってありましたよね。調査して欲しい。