M:i:IIIを見た

M:i:III」の先々行を見てきた。もう一盛り上がりあると最高だったが、それを差し引いても非常に楽しく見た。「スタイリッシュ」とか「エモーショナル」と言ったキーワードに飽きつつあったアクション映画ファンには恐らく歓喜をもって迎えられるだろう。俺は喜びました。脚本・監督のJ.J.には、出来れば次もお願いしたいところである。
J.J.「エイリアス」エイブラムスは基本的に海外ドラマの人であるが、短時間に驚くべき情報量とテンション、アクションを仕込む技術は映画の人の遙か上を行っている。こうした忙しいけど見やすくて迫力のある脚本&演出は、今後きっと流行ることだろう。テレビの人と思って全くお見逸れしやした。日本とは事情が違うのですね。
リアリティはない。作戦は無駄に派手だし、トムちんの行動は相変わらず杜撰である。「2」より幾分マシになったものの、イーサン・ハントはやっぱりアホだと思う。しかしJ.J.エイブラムスが賢明だったのは、そうした「どうせ観客を説得できそうにない部分」についてはとにかく最高速で駆け抜けてしまおうと割り切った点で、見ていてまどろっこしい部分は最小限に抑えられている。ブラッカイマー映画の発展形と言っても差し支えないだろう。さっき書いたことと多少矛盾するが、ポップコーンを食いながらスクリーンを凝視する際に必要なリアリティは充分に満たしており、これはアクション映画として極めて正しいことである。
トムちんは相変わらずで、サイエントロジカルで常に躁状態の、頭の不自由なイーサン・ハントと言うキャラクターを好演していた。話題の配役だったフィリップ・シーモア・ホフマンも流石の存在感で、儲け役を的確に演じ切っていた。脇役のデビッド・モースレネ・ルッソホアキン・フェニックスと大柄なチャン・ツィイーマイク・タイソンも良かった。全員別人だが。
これがスパイ大作戦なのかと言う疑問は置いておくとして(一作目で「おはようフェルプス君」を破壊してしまったデビッド・コープらの罪が重い)(しかしデ・パルマは素晴らしい仕事をしましたよね)、J.J.は良い仕事をしたと思う。アクション映画ファンにとっては待望の、キチンとした興奮のあるアクション映画である。