すぐれない

すぐれない。ずっとすぐれないのは主に耳の穴の具合で、それは俺がマニアックに耳をかきすぎるのが原因なのだが、ここしばらく万全の状態を取り戻したことがない。こないだ散髪に行った際は、シャンプーの後に耳の穴にグリグリとタオルを突っ込まれたりして(別に攻撃を仕掛けられたわけではなく、水気を拭うため)、ちょっと痛くて困った。
気分もあまりすぐれない。恐らく寒いのが原因の第一位で、第二位が毎日のかったるさである。気分がすぐれないから毎日がかったるいのか。そうかも知れない。どっちでもいい。一方で俺の気分がすぐれないから日本が寒いことは確かだ。うそだが。
部屋が汚い、と言うのも大きな問題として俺をむしばんでいる。考えてみると、散らかった部屋で過ごしている時に、散らかった物件に触れることなど、まずない。つまりあれらの全ては捨てたり箱に仕舞って見えなくしたりしても全然問題ないはずなのだが、なぜああも重要そうに、ここを動きたくない風に鎮座しつづけているのか。謎だ。
水道代を払いそびれている。水道局に行かなくちゃいけないのだが、平日は行けないし、土曜日になるとなぜか忘れているのである。不思議だ。
そしてやはり、気分が非常にすぐれない。どうせ気分がすぐれないんであれば、よりもっと文学的に、退廃的に、ニヒルに、気分がすぐれない感じに浸りたいと強く思うのだが、あれはあれでつらいのだろうか。チャレンジしてみたいが方法が分からない。一体どうすればいいのか。
かように毎日は淡々と詰まらないわけであるが、それに耐えながら特に何もせず、それでいて突拍子もなく面白いことが起こればいいなあ、しかも勝手に、向こうから、と言う怠惰な妄想を維持できる俺の神経の図太さも、実は偉大なのではないか。この偉大さを何かに活かせないか。ビジネスチャンス!ビッグトゥモロー!いしのなかにいる!
どうしてこんな結論に辿り着くのか自分でも分からないが、家に帰ったら腕立て伏せでもしようと思った。