アップルシード 感想

「実験作」とは「頑張った失敗作」の婉曲表現である場合が多い。と言うかこの結合はほぼ不可避と考えても良いだろう。面白い実験作なんて皆無なのだ。で、アップルシード実験作だけど成功していた。
俺は手書きのセルアニメへの執着が激しい人間なので、「アップルシード」は最初の絵が出た瞬間からギタギタにぶっ叩いてやろうと半年間憎しみを溜め込んでいました。プレステのムービーじゃあるめえしよー何だよあの絵はよー。目デカすぎんだよー。お客様に1800円払わす娯楽だって自覚があんのかよー。どうなんだよー。えー。で、実際見てみましたら、結構良くできてました。特に主人公の顔は良くデザインされてて、あー良く作ったもんだなーと感心してしまいました。目デカいけどね。かなりの工夫を感じた。ゲーム画面っぽい顔の人もたまに出てくるんだけど、概ね「劇場アニメ」として見せられるだけの水準に達していたと思います。口の動きが謎だったり髪の毛が不思議だったり改善の余地は膨大にあると言えばあるんだけど、それが娯楽の障害になってしまうレベルはかろうじて脱していたんじゃないかと。ソリッドな物体の表現はほぼ完璧。自動車とか海面とか、何となく不自然に思える部分もあるにはあったが、問題なく許せる範囲である。人物/物体/背景の描き分けもスマートにまとめられていて破綻がなかった。ぶっ叩くことを前提にスクリーンに臨んだのに、予想外に違和感ないんだものなあ。困るんだよなあ。それとアクションのない地味めなシーンにも空気中のチリなんかをちゃんと入れ込んでんだよね。丁寧だよね。一方で手を抜けるところはバッサリと手を抜いており、作り手のしたたかなクレバーさも感じた。この世界の人々は雨に降られても濡れない。
悪口書くことしか予定してなかったからあんまり筆が進まねえよ。
書くことないから客層について書きます。本日は水曜日でレディースデーだったんですが、それにしたって女性客が異様に多かったです。しかも別にオタクっぽくない、普段シネリーブルで目撃するような普通のおねーさんばっかなの。年配の方も結構いたりして、俺は結構衝撃を受けました。しかもそんな人たちがエンドロール終わるまで一人も席立たないし(一番後ろで観てたんでジックリと客の動向を監視できた)、終演後には普通に女性同士でパンフレットの見本とかを眺めたりしてるので、俺は更なる衝撃を受けたのでした。
SORI、ローマ字で名字だけにした意味はよく分かんないけど、おいら少し見くびっていたようだよ。「戦いが終わったら母になりたい」とか言う100%わけわかめなコピーも意外に普通に通用しちゃったみたいだし、何というか色々カルチャーショックでした。
ええ、普通に面白いですよ「アップルシード」は。手書きじゃ大変すぎて無理であろうアクションが目白押しですよ。トゥーンシェイドも効果的で、フラットなものがグリグリ動きまくる快感とかバッチリですよ。ビジュアル面での実験精神も加味して、m@stervisionの☆四つは多分妥当ですよ。チクショウ!チクショウ!振り上げた拳の持っていきどころが分からん!