ジョンQ 最後の決断 感想

WOWOWニック・カサヴェテス×デンゼル・ワシントンの実話風社会派サスペンス、「ジョンQ」を観た。
心移植手術を受けられない息子を救うため、ジョンQ(=デンゼル)が患者や医師を人質に取って病院に立て籠もると言う話。話自体は単純なので、サスペンスをどのように配置するかは脚本家の腕にかかっているわけだけど、失敗とは言わないまでも何となく色々ズレたような仕上がりになっていた。
恐らく「終盤で何の前触れもなく助け船が出現」みたいな安い展開を避けようとしたのだと思うが、その「安い展開」を中盤に突然挿入してみても仕方がないだろうと思う。それは伏線とは言わない。そんな乱暴な伏線(?)を経て、映画はいつの間にか「ジョンQが間違えて死なないかどうか」と言う不思議なタイムリミットものに脱線し、結局は回避したはずの御都合主義的大団円を迎えて終わる。うーん。
映画のテーマは明らかに「アメリカの医療制度の告発」なのだから、警察内部の小競り合い(お馴染みの「アホ上司VS.叩き上げ」だ)を描いてる余裕があったら、病院の院長を演じたアン・ヘッシュ周辺のドラマを厚くすべきだったと思う。彼女が結局FAX係程度のことしかしていないのはどうにも勿体ない。御都合主義のお涙頂戴映画だ!とか言うつもりは全くないが、もうちょっと題材に深く切り込めていたら傑作になっていただろう。役者も監督も万全だっただけに、ひたすら脚本が惜しい。
とは言うものの、デンゼル・ワシントンジェームズ・ウッズロバート・デュバルの演技が素晴らしかったので、最後まで面白く観られました。