エターナル・サンシャイン(DVD)を途中まで見た

「途中まで」と言うのは再生用に使っているパソコンがアホで途中で止まるからである。この段階で感想を書くのも我ながらどうかと思うが、日記として記しておきたい気持ちもあり、読まれる方はどうかそのつもりでお願いします。適当書いてごめんなさいね。
さて「マルコヴィッチの穴」の脚本家チャーリー・カウフマンの5作目、「エターナル・サンシャイン」である。カウフマンはノスタルジーを原動力とした、コミカルで、やがて哀しき、トリッキーな脚本を得意とする人であるが、毎度のことながらそのトリッキーさにロジックがない。仕掛けの細部は明らかに未構築で、設定も展開も構築的と言うよりは感情的である。物語はあくまでカウフマンの感情に従って転がるだけなので、「先が読めない脚本」と言う誉め言葉は該当しない。このあたりは監督違いの「マルコヴィッチの穴」と全然変わっておらず、これはつまり落ち度と言うよりは意識的に選択された個性なのだろう。あまり良い方向に発揮されていない気はするが。感情にこだわりたいなら目先の小仕掛けに囚われるのはやめて欲しいし、まともなシチュエーションSFを目指したいならロジックの部分をしっかりして欲しい。こうしたある種の生煮え感を斬新さとか洒脱さと受け取る人もいるかも知れないが、個人的には感心しなかった。
イメージとして印象的な場面は幾つかあったにせよ、それはまさに断片的に提示されるのみで、ストーリーをドライブさせる要素には残念ながらなり得ていない。アイディアによりかかった(そのわりに追求のたりない)おざなり感が、どうしても気になってしまった。
が、自分や他人の無意識に飛び込んで、過去やら記憶やら未来やら希望やらをもう一度ありありと手に取ってみたいと言うカウフマンの衝動はデビュー以来切ないほど一貫していて、今後何かが解消され、また何かが実現され次第、きっと名作をものにするだろうと言う予感はある。もうそろそろ友達に任せないで、自分で監督をやったらうまくいくんじゃないかと思うのだが、どうでしょう。
ジム・キャリーはいつものように良かった。誰もが覚えのある無垢さを全く嫌味なく滲ませることの出来る稀有な主演俳優であると思う。それとみんなに不細工呼ばわりされて久しいメリー・ジェーンことキルステン・ダンストさんだが、個人的には近視っぽい目つきがセクシーな気がして、あんまり嫌いじゃないのです。
最後に追記しておくが、カウフマンの魅力は奇抜さではなく、エモーションにあると思う。その面では俺はカウフマンを絶大に評価しており、全般に批判的な論調になったものの、そのイメージの鮮烈さに何度か涙ぐんだことだけは明記しておきたいと思う。ゴンドリーの演出力、咀嚼力も水準以上のものと信じるが、やはりこれはカウフマンの映画である。