千鳥ヶ淵

桜の盛りも今週いっぱいであろうと言うことで、千鳥ヶ淵の桜を見に行った。
人の流れにのって適当に歩いていたため、どこをどう歩いていたのか一度も考えなかったが、確認してみたら大手門から東御苑に入り、江戸城跡を眺め、北桔橋門へ抜けて、北の丸公園の高台から千鳥ヶ淵を眺めて、武道館を通りすぎ、田安門を出る、と言うコースだったらしい。
東御苑散策で最も印象に残ったのは、天守台の麓に鎮座する桃華楽堂の唐突さであった。

ある種のEXPO感と言うか、新興宗教っぽさと言うか、永続性のない前時代的な祝賀ムードが漂いすぎていて何とも異様な印象である。ロイヤルファミリーな人々特有の独特なファッションセンスに共通する何かを見いだせなくもない。誰が建てたんだろうと思って調べてみたら、今井兼次によるものだった。あのモザイクはEXPO感じゃなくて(そもそも桃華楽堂が建ったのは1966年だそうだ)、モダニズムに反発したクラフトマンシップの表われらしい。

建築全体の構成は、円筒形の高いホールに、緩い勾配の切妻屋根をもつ低いホールが接続している。平面・壁体・屋根面は単純であるが、輪郭が微妙な曲線へと変形し、独特な造形をみせてくれる。内外部の壁面には、設計者自身の手になる陶片モザイク画の装飾が施こされ、工芸的な緻密な世界が展開する。部分と全体、伝統と現代といった対比の中で、これらが高度に統合された建築といえよう。モダニズム全盛の時代にあって、敢然として独自の世界を築き上げた、異能の建築家ならではの観がある。

だそうだ。建築は全然わかんないので下手なことはいえないが、御苑の雰囲気と見事に調和しないこの感じは、輸入モダニズム建築が嫌いすぎて短気を起こしたとか、自分の個性と対峙させ統合させる予定だった伝統を読み違えたとしか思えないのだが、そのあたり一体どうなんだろうか。あんまり重厚にしても時代にそぐわないし、音楽堂だから背は高くしなくちゃいけないし、とりあえず目出度い感じになればそれでいい、と言うことだったんだろうか。建築ファンからの評価が知りたい。建築って絵画や音楽と違って壊されるまでそこに存在してなくちゃいけないから、色々と大変そうである。

こうして見るといろいろありますね。無職だし、パノラマカメラも買ったことだし、いろいろ観光してみようかな。桜のことほとんど書いてませんけど、千鳥ヶ淵の桜は綺麗でしたよ。