COOLSCAN 5000EDでフルパノラマをスキャンする手順

色々と融通の利かないNIKON SUPER COOLSCAN 5000ED&NIKON SCAN 4を使って、一応まともにフルパノラマを分割スキャンする手順が整理できたのでメモしておきます。

追記:ここで記述しているのは1コマ24mm×58mm〜59mm=HORIZON、WIDELUXによるパノラマ写真のスキャンについてです。フジのTXについては未確認なので、もしかするとエラーなどが出るかも知れません。やってみようと思う人は、必ずニコンのサービスセンターにフィルムを持っていって試してみてください。TXの画像サイズは24mm×68mmと先の2機種よりワイドなので、「位置調整」でカバーしきれないケースも出てくるかも知れません。

【はじめに】 もともと5000EDはフルパノラマには対応していないので、フルパノラマのコマをスキャンする場合には、1コマを、同一サムネイル枠を使って、「位置調整」で2回に分けて、分割してスキャンします。それをphotoshopなど、レイヤーの使えるソフトで結合する。で、問題なのがスキャナが勝手に行なう露出補正で、これを回避しないと色味がズレて画像が結合できません。

【フィルム給送】 アダプタは付属のSA-21(ストリップフィルム用)を使います。フィルムはフルパノラマで2〜3コマごと(通常サイズの約6コマ以内の長さ)にカットしたものを使います(お店に出す時に「フルパノラマなので、2〜3コマごとにカットしてスリーブに入れてください」とお願いしておくと良いです)。NIKON SCAN 4を立ち上げてフィルムを挿入したら、左上の「田」ボタンをクリックしてサムネイルを表示させます。NIKON SCAN 4は、この段階で大雑把に明暗を評価し、サムネイルごとに固有の露出値を決定するようです。この値はフィルムが排出される時まで保持されます(「位置調整」コマンドでサムネイル内のイメージが変更されても、同じ値を保ち続けます)。この値はユーザーからは見えませんし、調整もできません。ちなみにプレビュー前、スキャン前に実行される「自動露出」は、その時サムネイル内におさまっている情報を改めて評価しなおして、初期値にプラスやマイナスの補正を与えるコマンドです。分割スキャン時に色味のズレが発生するのは、この補正値がバラバラになるからです。

自動露出の設定】 分割スキャン時に問題となる「自動露出による色味のズレ」ですが、一回目のスキャンは自動露出ON/OFF好きな方で構いません。ウィンドウ左側「環境設定」から、「プレビュー(追加処理)」「スキャン(スキャン前)」「バッチスキャン(スキャン前)」について、自動露出の有無を設定して下さい。普通にON推奨。

【プレビューの作成】 端に黒味が出ている(コマの開始位置が上手く検出された)サムネイルが、スキャンに適したコマです。スキャンしたいサムネイルを選択してから、プレビューボタンを押します。サムネイルからはみ出た部分は、後からスキャンするので気にしない。

【お好みでツールパレットによる補正】 ウィンドウ左側「ツール」からツールパレットを出し、お好みでアナログゲインやトーンカーブなどを調整します。アナログゲインはともかく、トーンカーブをいじってしまうと二度目のスキャンの時に色味がズレるのではないか?と心配になりますが、不思議なことに問題ありません。サムネイルを作成したときの情報を継承して、それに基づいて色を配置する仕様になっているようです。「位置調整」でピークや色調が全然異なる場所をスキャンしても、色味はキチンと統一されます。ただし、普段使わないので調べてないのですが、「スキャンイメージエンハンサ」「Digital DEE」「Digital ROC」はスキャン位置が変わると補正値も変わってしまうかも知れません。使わないほうが無難かも知れません。

【一回目のスキャン】 調整が終わったらスキャンしたいサムネイルを全て選択して、スキャンを開始します。ちなみに「バッチスキャン」のときは「自動露出ON/OFF」のダイアログが出てきますが、「スキャン」のときには出てきません。事前に環境設定メニューでセットしておく必要があります。スキャンが終了したら、普通に画像を保存します。

【位置調整】 一回目のスキャンが終わったら、枠外に出た部分のスキャンを準備します。ツールパレットを出して、「スキャナ設定」>「フィルム位置調整(「85〜88」ぐらいになるかと思います)」>「更新」で、コマの未表示(さっきスキャンした側とは反対側の端)部分をサムネイルに収めて下さい。サムネイルの色が変だと思いますが無視してください。ちなみに、ひとつのコマを異なるサムネイルで別々にスキャンすると、自動露出をOFFにして全ての設定を同一にしていても色味がズレます。ひとつのコマは同じサムネイルを使って作業する必要があります。

自動露出を外す、二回目のスキャン】 位置調整が終わったら、「環境設定」で「スキャン」「バッチスキャン」の自動露出をOFFにします。これでサムネイル内には同じ露出が保持されます。同じ露出値なので、調整やプレビューは不要です(するとズレます)。二回目のスキャンを開始して、画像を保存。

【ステッチする】 同じ設定で分割スキャンが出来ました。これをphotoshop等で結合すれば完了です。色味の補正は全く要らないので、手動でやっても案外綺麗にくっつきます。画像をレイヤーとして重ね合わせて、重ねた方を消しゴムで削っていくのが一番綺麗に仕上がるかと思います。

お疲れ様でした。