アポカリプト(DVD)を見た

大きなテレビを買ったので映画祭りをしようということになり、DVDを借りてきて見た。
中南米のジャングルで平和に暮らす、洗練された土人の人々が、更に洗練されたマヤ文明の人々の襲撃を受け、生贄の材料として連行される。村は壊滅し、主人公のジャガー・パウも連行されるが、かろうじて妻子を深い縦穴に隠すことには成功し、殺戮と連行を逃れた妻子は穴の中で主人の帰りを待つ。縦穴はとても深いので、自力で登ることはできない。妻は妊娠しており、子は幼く、まさに絶体絶命、果たしてジャガー・パウは妻子の元に帰還できるのか、と言うストーリーである。ネタバレになるので詳細は省くが、その後、ジャガー・パウは脱出に成功し、その逃避行が映画の主な内容となる。
感想であるが、佳作ではあるが傑作ではない。多くの人が2007年の年間ベスト10に入れたりすることには、多少の疑問を覚えた。メル・ギブソンは技巧的に優れたところのある監督ではないし、肝心のアクションにも特筆すべき所はない。これが類い希なる良作だとするならば、アクション映画はジャンルとして危険な状態にある、と言わざるを得ないだろう。
パナビジョン「ジェネシス」による映像は凄かった。質感や色味はビデオですね、と言う印象がないでもなかったが、暗所での撮影性能が常軌を逸して凄い。ジャングルを駆けずり回る主人公を離れた枝ごしに撮影してみたり(見たところ照明が当たっていない)、真夜中のジャングルを松明の光で走り回る追跡者の姿を撮影してみたり(これも恐らく照明なし)、まさに不可能映像のつるべ打ちとなっている。キューブリックも10年長生きすればこれが使えたのに!
あと役者が素晴らしかった。主人公の美しさで2時間退屈しないアクション映画というのは、アクション映画として非常に正しいと思う。