それでもボクはやってない(TV)を見た

映画館では見逃したので、今回が初見となった。テレビの時間に合わせてかなりのシーンが削られているように見えたが、別段問題は感じさせず、トイレのタイミングにも困らず、とてもテンポよく見られた。間違いなく、元が良いからであろう。
周防監督の演出は簡潔さと重厚さを兼ね備えた盤石なもので、まさに抜群の上手さであった。イーストウッド的と言えば言えるかも知れない。全編に一貫したロジックがあり、役者は確かな感情を伴って映画の中にあり、それ以上のものは全て削ぎ落とされ、結果としてどのカットにも迷いがない。メジャーマイナー問わず、これだけのものが撮れる監督は日本に殆どいないだろう。そして周防正行は、超メジャーな土俵でそれを成し遂げた。他の作家は怯えるほかないと思うし、これで怯えないとしたら、それは危機感の不足ではないか。11年のブランクは、素晴らしい形で実を結んだ。
それと最後に、俺の価値観における美人は鈴木蘭々に集約されるような気がするほど鈴木蘭々が好きなので、彼女の出演は非常に嬉しかった。