エフェクト担当者に聞く『イノセンス』とか

guideさんのやじうまGUIDEの日記より。

んー。いや、実は二度目を見てきたんだけど、やっぱり映像が絶望的にチグハグだなーと言うのが正直な感想です。エフェクトのひとつひとつは凄くても、全体の統一感のなさは如何ともしがたい。
アニメにCGが導入されたことで、パンとズームしか有り得なかった背景にも三次元的な動きが加わるようになった。つまり・・・背景とオブジェクトの区別が曖昧になった。食料品店の棚は背景だけど、視点の移動によって動くオブジェクトでもある。棚の商品も背景だけど、バトーが手に取ることの出来るオブジェクトでもある。これらをどう描き分けてくかの試行錯誤は、今後しばらく続くだろうと思う。
スチームボーイ」は3Dに2Dの絵を貼りこんでいく形でルックを統一している。輪郭のある/なしは伝統的なセルアニメのルールに従うのだろう。予告を見る限りではそんな感じである。グラデーションも使っているが、金属を表現する時に限定しているようだ。「AKIRA」から進化しているのは煙の表現で、これは輪郭全廃である。大友漫画らしい激しい描線で囲まれた動きのある煙も、CGを使えば輪郭なしで表現できるのだ。「AKIRA」には数種類の煙の表現が混在していて、結構苦し紛れのシーンもあったのだが、うーむ、進歩だ。
フランスの「The Triplets of Belleville」(感想→)はトゥーンシェイドとセピア調にまとめた少ない色数で3DCGの不自然さを消していた。
どこも色々と苦労しているのだ。
イノセンス」は確かに先進的なアニメだったけど、その辺のこだわりが完全に欠落していたように思う。こだわった結果ああなったのだとしたら、そりゃもう「趣味が悪い」としか言いようがないのだけど。どうなんだろう。
感想をまとめよう。個人的に素晴らしいと思ったのは、冒頭のバトー到着シーン、択捉特区の空撮、祭礼シーンの背景、狭い通路の主観映像(冒頭の殺害現場、船に進入した直後など)。ここらへんは素晴らしかった。一方で全然駄目だったのは、なぜか全部3DCG丸出しだった祭礼シーンの山車、クリオネ、蟹の鋏、キムの館とその前後全部、などなど。こういう風に部分で分けて評価できちゃう時点でやっぱ問題あるよなあ。エフェクトについて書くつもりが結局全部3DCG絡みの文句になってしまった。
で、そうした悩みのないCGアニメ「アップルシード」の新しい予告が出てました。どこからどう見てもプレステのゲーム画面だった前回の予告に比べると、相当マシな気がします。プレステのムービー画面ぐらい凄いと思います。

顔面どアップの多用は「劇場は厳しそうだからDVDで稼ぎます」と宣言しているかのようで・・・って俺ケチつけすぎですか。いいんです。「日本のアニメは海外では高い評価を・・・」って伝説は、ある部分では真実だけど、ある部分じゃ絶対幻想なんだから。


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