スカイ・クロラを見てきた

見てきた。押井映画におけるCGの使い方には毎回首を傾げざるを得ない、と言うか、本人は一体どんなつもりでやってるのか毎度不思議でしょうがないのだが、今回も相変わらずに不思議だった。同じ物体がシーンによって異なるルックになることに躊躇がない。
イノセンス」の時は、「現実が夢に近い状態にある時は背景が突然CGになるのだ」と言う豪快なルールが貫徹されていることを後に知って驚いた。「攻殻機動隊2.0」に至っては、「追加シーンは突然CGになるのだ」と言う更に豪快なルールが貫徹されているそうで、更にびっくり仰天した。すると押井守と言う人は、セルアニメのタッチにCGの質感が混じり込んできても視覚的な違和感など生じませんよ、と思っているか、むしろルックの使い分けは視覚的な演出になり得るのですよ、と思っているに違いなく、そこらへんの感性はどうにも理解しがたい。見てるうちに慣れはするが、効果的とは全く思えない。
が、ファンなので、全体としては楽しんで鑑賞しました。死なない子供たちの時間感覚は示唆に富んでいるし(やたらと長生きだとどのような状態に陥るのか、映画を見ながら初めてありありと想像した)、音は物凄いし、空戦は楽しいし(パンフレットによると、コクピット内に描かれている計器は全て正しい情報を示しているらしい)、映画であろうとする演出は病的にクドいし、犬は鬱陶しいし、語られる哲学にはいまひとつ釈然としないものが残るし、そんな様々を含め、中々に良い映画だったと思います。お金を払って見る価値はある。ちなみに今回は、説教と魚眼はあったが川下りがなかった。あのフラッシュバック(バック?)が川下りに該当するかも知れないが、例の合唱団は静かなものでした。
それともうひとつ、本編の何でもないシーンで、赤いインクを散らしたようなドットが出現するのを二回ほど見た。パンチとは明らかに違うもので、画面の中央部に一瞬だけ出現するのだが、あれは何だったんだろう。映写やプリントの問題だったのか。それとも元々そう言う映画なのかしら。だとしたらますます押井が分からない。新宿バルト9のシアター6。8月7日の20:00の回。