スピッツ@さいたまスーパーアリーナ

スピッツの「SPITZ JAMBOREE TOUR 2009 "さざなみOTRカスタム"」に行ってきた。友達にスピッツの大ファンがおり、ライブの際に欠員が出るとたまに呼んでくれるため、ときおりこうした機会が訪れる。今回はアリーナ席の前から10番目、しかも前列のお客さんが欠席、という素晴らしい見晴らしで、ありがたいこと限りなかった。
スピッツといえば、今も昔も大会場をガンガン満員にしているようなイメージを持っていたのだが、意外なことにアリーナ公演というのは初めてなんだそうだ。メンバーたちも「遠近感がおかしい」「リバーブが凄いんだよなー」などと、呑気な感想を口々に述べていた。自分もさいたまスーパーアリーナは初めてで、このクラスの大会場自体本当に久々だったんだけど、やっぱり流石に壮観だった。ライブハウスにはない良さがあります。
再確認したのは草野マサムネという人の奇跡的なキャラクターで、あそこまで常人離れした歌声と、才能と、容姿を持った人が、たまたま音楽に出会って、さらにそれを支える最適かつ交換不能なバンドメンバーに遭遇したという珍しい事態には、音楽ファンとして感謝の念のようなものを持たざるを得ない。草野マサムネは、ライブでも録音音源そのまんまのハイトーンで歌を歌い、しかもまったく余裕がある。キツいから下で歌うみたいなことは一切しないし、歌い方にも情緒や音色を優先させられるだけの充分な余白がある。本人が飄々としているので見過ごしてしまいそうになるが、まあ、尋常ではない。
天才的ミュージシャンの才能の形をイメージするとき、直枝政広なら竜巻や豪雨や台風一過の青空であろうし、加藤ひさしなら光線銃や風船ガムが破裂する瞬間であろうし、佐藤伸治なら真夜中の霧や煙やそれに霞む灯りであろうし、などと勝手に思うのだが、草野マサムネの場合は、突然に弾ける火花や電流であろう。ライブ中は、とびきりに麗しい外見の周囲に、それらがずっとバチバチと飛び散って見えた。
男子でも思わずときめいてしまうのだから、女子のスピッツファンはさぞかし大変だろうと思う。堪能しました。