天狗舞 山廃仕込純米酒

日本酒の話です。山廃造りの代表格、天狗舞純米酒。原料米は五百万石等、 精米歩合60%。日本酒度+3。酸度1.8。アルコール15〜16度未満。 ちまちまとスペックを書くことにはしているけれど、あんまり意味がないことに最近気づき始めている。そんなに好みじゃなかったわりには四合瓶を記録的なスピードで飲み干し、現在一升瓶が一本置いてある。
「生もと」造りから山卸し(米と麹を櫂で摺りおろす作業)の工程を省いたものを「山廃」造りと言う。略さずに言うと「山卸し廃止もと」。生もと造りと並んで非常に手間のかかる作り方で、殺菌用の乳酸を人為的に添加して作る通常の「速醸もと」と比べると倍ぐらいの作業量になるらしい。独特の香味や酸、旨味を持った濃醇な酒が出来る。
グラスに注ぐとうっすらと山吹色でとても綺麗だ。吟醸香は勿論なく、鈍くレーズンのような甘い香りがする。口に含むと香りどおりの濃厚な味わいがして、酸味はほとんど感じない(酸味はあるけれど、それ以上に味が濃いので目立たない)。その後、強い甘みにまみれて強力に米の味がする。大七の生もとは酸味と切れが印象的だったけど、天狗舞は甘い香りと味の濃さが個性のように感じました。
黒酢バルサミコ酢などをかけて美味しい料理に特別に合います。餃子などは特にお奨めです。たまたま一緒に食ってただけですが味付け湯葉も旨かった。プルーンなども良い。何でもいいのか。ただし生もとと同様、用途としては完全に食中酒ですし、独特の香味が苦手な人は苦手だと思います。